商標登録を受けることができない商標

商標登録は早い者勝ちといっても、どのような商標でも登録されるというわけではありません。商標法は、商標登録を受けることができない商標を規定しています(商標法4条1項1号~19号)。

商標を出願した後、特許庁で審査をした上で、登録の可否が決まりますが、商標登録を受けることができない商標については、審査で拒絶されることになります(商標法15条)。また、誰でもその登録に対し、一定期間、異議を申立てることができます(商標法43条の2)。さらに、無効事由にもなり、商標登録を無効とする審判を提起することができます(商標法46条)。

商標登録を受けることができない商標とは

商標登録を受けることができない商標には、公益上の理由で不登録事由とされているものと、私益に基づいて不登録事由とされているものがあります。
前者は、公益上の理由なので絶対的不登録事由ですが、後者は、私益に基づくものなので、登録が認められる場合があります。

絶対的不登録事由となるもの

※正確に把握するには条文を参照する必要があります

➀国旗などと同一または類似のもの(商標法4条1項1号)
➁紋章などで、経済産業大臣が指定するものと同一または類似のもの(2号)
➂国連などの国際機関を表示する標章と同一または類似のもの(3号)
➃赤十字の標章と同一または類似のもの(4号)
➄政府や地方公共団体の監督用または証明用の印章または記号と同一または類似の標章(5号)
➅公共機関などの商標と同一または類似のもの(6号)
➆公序良俗違反のおそれがある商標(7号)
➇博覧会の賞と同一または類似のもの(9号)
➈商品の品質または役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標(16号)

相対的不当録事由となるもの

※正確に把握するには条文を参照する必要があります

(1)他人の肖像や氏名などを含む商標(8号)
(2)周知の商標(10号)
(3)先願商標と同一または類似のもの(11号)
(4)防護標章登録を受けた商標と同じもの(12号)
(5)種苗法の品種登録を受けた品種の名称と同一または類似のもの(14号)
(6)他人の商品または役務と混同を生ずるおそれがある商標(15号)
(7)ぶどう酒や蒸留酒の産地を表示する標章(16号)
(8)商品等が当然備える特徴だけからなる商標(18号)
(9)著名商標と同一または類似の商標で、不正の目的をもって使用するもの(19号)

このうち最も問題になるのが、先願商標と同一または類似の商標に該当する場合(11号)です。
どのような場合に、二つの商標が類似といえるかを巡って、争いになります。