商標登録は早い者勝ち

商標登録は、早い者勝ちです(これを「先願主義」といいます)。

つまり、同一または類似の商品または役務について使用をする同一または類似の商標について異なった日に、二つ以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができるのです(商標法8条1項)。

反対に、実際にその商標を使っていた人が、「先にその商標を使っていました」、と幾ら主張しても、そのような主張は認められません。つまり、先に出願した者が商標権を取得します。先に使った者勝ちの制度(これを「先使用主義」といいます)もありえますが、制度的に運用が難しいため、先願主義が主流です。

では、同じ日に同じ商標が出願された場合は、どうなるのでしょうか。
商標法は、商標登録出願人の協議によって定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができます(同条2項)。 つまり、話し合いで決めることになります。話し合いで決まらない場合は、くじ引きになります(同条5項)。

ところで、現在、商号の登記は、「その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない」と定められています(商業登記法27条)。

つまり、同じ所在地に同じ商号で登記している者がいない限り、その商号で登記が可能です。そんな状態は滅多におこらないので、他の会社の商号をちゃんと調べなくても、安心して会社の設立、登記ができるようになりました。
その反面、調査をおろそかにして、安易に会社名を決定してしまうようにもなりました。

そこで、その会社名がすでに商標登録されてしまっていた!という事態が生じ易くなりました。
その会社名を商号として使用するだけなら問題はありません。たとえば、会社の封筒に会社名を書いたりするだけなら、商標権に抵触しません。

ただ、その会社名を商標としても使いたくても、商標としては使えないという問題が生じます。
たとえば、コカ・コーラ社は、「コカ・コーラ」を会社名として使っていますが、商標としても使用しています。そういうことができなくなるのです。
会社が発展して商品やサービス展開を考えたときに、商号が商標として使えないとなると、なにかと不便です。

会社を設立する際は、商標登録も考えて、商号を検討する必要があります。