ゲームを変更するチート(cheat)行為をするとどうなるのか?

多くのオンラインゲームは、ゲーム自体は無料で提供し、ゲームの中で使われる道具やキャラクターなどのアイテムに対して課金することでビジネスが成り立っています。
ところが、ゲームを利用するにあたり、「チート(cheat)行為」を行うユーザーが後を絶たないため、その対策が問題となっています。

チート行為とは?

警視庁のHPによれば、チート行為とは、「ゲームのデータやプログラムを改ざんして、正規の利用では本来できないこと(アイテムを不正に増やしたり、キャラクターのレベルを急激に上げるなど)を不正にできるようにする行為」と定義されています(ただし、一般財団法人デジタルコンテンツ協会の平成28年3月付け「平成27年度産業経済研究委託事業 コンテンツ保護の技術的手段に係る法制度及び技術動向等に関する調査研究」によれば、チート行為は、ゲームプログラムを書き換えるものではなく、ゲーム内のアイテム等に係るデータを書き換えるものと分析されています)。

チート行為が行われると、異常に強いプレイヤーが生まれてゲームの公平性が損なわれ、健全なユーザーが離れていく事態になりかねません。
そのため、運営側は、不正行為を監視して取り締まりを強化し、利用規約の中で、チート・ツールの開発、配布、使用などの行為を禁止事項として定め、禁止事項に該当する行為を発見した場合には、利用を停止する措置を取っています。この方法は、運営側の自己判断で速やかに対処できるメリットがありますが、不正行為の抑止力に限界があります。

そのため、チート行為について、利用規約違反を問題にするだけでなく、なんらかの法令違反の問題にできないかが検討されています。

刑事事件となった例

チート行為が刑事事件に発展した最近の事案には、以下のものがあります。

➀チート・ツールの販売行為に対し、不正競争防止法違反(技術的制限手段回避プログラム電気通信回線提供)および私電磁的記録不正作出罪で逮捕、起訴され、懲役2年(執行猶予4年)の刑が科せられた事案。
➁チート・ツールの販売行為に対し、著作権法違反(技術的保護手段回避プログラムの複製物譲渡)の罪で略式起訴され、罰金50万円の刑が科せられた事案。
➂チート・ツールをインストールしたスマートフォンをネットオークションに出品し譲り渡した行為が著作権法違反(技術的保護手段回避プログラムの複製物譲渡)であるとして逮捕された事案。
➃チート・ツールの作成行為に対し、著作権法違反(具体的な罪名不明)の疑いにより逮捕された事案。
➄チート・ツール使用者を偽計業務妨害罪の疑いで書類送検した事案。

チート・ツールの使用者まで刑事事件で立件することについてはやや疑問に感じますが、コンテンツとしてのゲームの重要性を考えると、作成や譲渡行為については、取締りの必要性を感じます。